欧州債権市場のリスクに関して

銀行の「ベイルレイン」(救済)が「ベイルレアウト」(緊急離脱)を招く

銀行を破綻から救うために、社債保有者に債務の減免を強制的に認めさせる「ベイルイン(bail-in)」条項を盛り込んだハイブリッド債券をめぐって、欧州の債券市場を二分する議論が進行中。監督当局は金融危機の際には公的資金を注入する「ベイルアウト(bail-out)」(救済)で銀行を守ったが、今回の「ベイルイン」方式は債券投資家の市場からの「ベイルアウト」(緊急離脱)のリスクをはらんでいる。

銀行の上位債権者に銀行救済のための負担案浮上

2011年第1四半期に金融法人(FIG)が発行した無担保優先債の総額は、前年比22%減、グローバル劣後債は10%減だった。一方、同四半期時点での欧州金融機関の資金不足は総額1兆ユーロに達した模様だ。

 

「この1年間に債券市場で起きだことを考えると、欧州のFIG市場関係者たちは、市場の先行きにやや不安を抱いているのではないか」という取材前の予想は完全に外れた。債券引き受け業務に関する調査で上位にランクされた数社を取材したところ、どの関係者も非常に楽観的だった。例えば、BNPパリバのフィクスト・インカム・プライマリー・マーケデツ&オリジネーション部門グローバル責任者、マーティン・イーガン氏は「私か知る限りでは、現在の債券市場はこれまでで最もエキサイティングで、最も興味深い局面の一つを迎えている」と語った。BNPパリバは2011年調査の総合ランキングで2010年の4位から3位に順位を上げた。

 

欧州のソブリン債務危機や新たな規制の影響についての質問が終わる前に、イーガン氏が答え始めた。「世界は変わった。マクロレベルで状況を見る必要がある。成長ダイナミクスが急変する可能性はなく、先進国、新興市場、成長市場という従来の境界も取り払われてきた。つまり、新たなビジネスチャンスがあふれている」

 

実際のところ、過去にほとんど経験したことがない不安定な状況が続く欧州債券市場でそうしたビジネスチャンスを見出すのは容易ではないように思える。ユーロ圏周縁諸国の資金繰りは急速に悪化しており、デフォルト(債務不履行)か債務再編のいずれかが現実となれば、他の債券市場に及ぼす影響は厳しいものになる可能性がある。

 

ギリシヤ国債の保有者に厳しいヘアカット(債務減免)を強いるべきだという主張があるが、それは、銀行が経営危機に陥った場合、銀行の無担保優先債の保有者に応分の負担を求めようとする動きと共通するところがある。

 

金融危機のとき、銀行をベイルアウト(外部からの救済)するためにそのツケを恥知らずにも納税者に回した政府や金融当局が、今回は債権者にベイルイン(銀行の内部からの救済)の負担を押しつけようと考えている。しかし、ペイルイン方式での銀行救済が、過去の経営破綻のケースより深刻な結果、つまり投資家の債券市場からのベイルアウト(緊急離脱)を引き起こす危険はないのだろうか。

 

経営危機にある銀行の上位債権者にその銀行の救済のために応分の負担を求めるという案が浮上したのは2010年だったが、それ以来、市場はその話題でもちきりになっている。だが、現在に至るまで投資家には受け入れられていない。議論は、@2013年以降の無担保優先債の発行契約にベイルイン特約条項を盛り込む、A新しく「ベイルイン発動可能(bail-inable)優先債」を導入するという点を中心に展開中だ。いずれにしろ「ペイルイン」条項抜きで済まそうとしても、その可能性は日々薄れている。

 

ペイルイン案の賛成派は、ペイルイン条項付き債券市場では、債券投資家は自己資本比率が高く、監督が行き届いた銀行を選択する傾向を強めることになると主張する。つまり、ベイルイン条項が盛り込まれても、投資家が抱える信用リスクには大きな変化はないというわけだ。これに対して首を横に振る一部の債券投資家は、とりわけベイルイン条項の適用基準に強い懸念を隠さない。 ドイツ銀行の欧州FIG・DCM(債券資本市場)担当マネジングディレクター、ヴィノッド・ヴァサン氏は「ベイルイン条項のトリガーが当局の裁量に任されるのであれば、『事実上の破綻』の定義を明確にしておくことが不可欠だ」と強調したよちなみに ドイツ銀行はユーロマネー2011年調査では前年の3位から4位に後退している。

 

多くの投資家Jことってはヽべイルインリスクは明らかに心配の種だ。「(バーゼルVによって)銀行の自己資本比率は引き上げられるだろうが、我々は監督当局の積極行動主義(規制)が想定外の事態をもたらすリスクを心配している。当局が、債務者と債権者の間で取り決めた契約を無視して、自由裁量で介入してくることに懸念を感じる。」

 

参考元:初心者でもわかる達人のFX

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